日本政府は2025年12月23日、2027年度から導入される新制度「育成就労」の受入れ上限数案を公表しました。技能実習制度に代わり、日本の人手不足を解消しつつ外国人労働者の権利を守るための大きな転換点となります。これから日本でのビジネス立ち上げや長期滞在を希望する外国人にとって、この「上限数」と「転籍制限」は極めて重要な情報です。
外国人労働者 123万人上限の衝撃:制度の抑制と厳格化
政府が有識者会議に示した案では、育成就労開始から2年間で受入れ可能な上限数を約42万6千人としています。これは既存の「特定技能1号」と合わせると、2028年度末までに累計約123万2千人が日本で就労可能になる計算です。
ポイント: 今回の上限設定は、単なる拡大ではなく「抑制的」な側面があります。政府は外国人政策の厳格化をセットで進めており、一部で高まる懸念に対応する姿勢を見せています。
受入れ枠は「介護」「建設」「農業」など17分野(特定技能は19分野)ごとに設定されます。出国者数を差し引いた「在留者数」で管理されるため、上限を超えた場合は受入れが一時停止される可能性があります。
職場を移る「転籍(転職)」には依然として高いハードル
育成就労制度の柱の一つは、外国人労働者が自らの希望で職場を移る「本人希望の転籍」を認めることです。しかし、実際には多くの条件が課せられており、自由な転職ができるわけではありません。
- 期間の制限: 17分野のうち、工業製品製造や建設など8分野(全体の約9割を占める)では、転籍できるまでの期間が「2年」に制限される見込みです。
- 日本語能力: 転籍には一定以上の日本語能力の合格が必要となります。
- 都市部への集中抑制: 賃金水準が高い東京や大阪などの都市部への転籍には制限がかかり、地方の人材確保を優先する仕組みが検討されています。
既存制度と新制度の比較表:何が変わるのか?
技能実習、育成就労、特定技能の主な違いを以下の表にまとめました。今後の在留資格変更やビジネス計画の参考にしてください。
| 項目 | 技能実習 (現行) | 育成就労 (2027年〜) | 特定技能 (1号➡2号) |
|---|---|---|---|
| 目的 | 国際貢献 | 人材育成と確保 | 即戦力の人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年(帰国前提) | 原則3年(特定技能への移行想定) | 1号: 最長5年 / 2号: 無制限 |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 1〜2年で可能(同分野内) | 可能 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 1号: 不可 / 2号: 可能 |
まとめ:外国人労働者の権利保護と企業の課題
国士舘大学の鈴木江理子教授などの専門家からは、「地方の人材確保のために転籍制限が正当化され、外国人労働者の権利が十分に守られない懸念がある」との指摘も出ています。
日本での長期滞在や起業を目指す外国人の方、また特定技能などへのビザ変更を検討されている皆様にとって、制度の厳格化は避けて通れない課題です。政府は来年1月末に詳細を決定する予定であり、最新の動向を注視し、適切な環境整備と法的準備を行うことが求められます。


